MS621FE 充電用電池をリフローするとどうなる?

先日の投稿「ZED-F9Pなどモジュール部品を基板から取り外す方法」ではZED-F9Pを取り外すために基板をホットプレートに載せましたが、目的のZED-F9Pのすぐそばに充電用電池が搭載されています。
この電池はZED-F9Pの内部のメモリをバックアップするもので、SII製のMS621FEという型番です。小さく、入手性もいいので弊社のZED-F9P関連の製品ではもっぱらこの電池を使っています。

形状は表面実装用ですが、データシートには「MS621FEはリフロー実装は不可です。手はんだで実装してください。」と書いてあります。それで当然弊社でも手はんだで実装していますので、リフローしたらどうなるのかは試した事がありませんでしたが、今回、そのテストができました。

基板上のMS621FEは一見何も異常はありませんが、取り外すと画像のように、樹脂のようなものが漏れて出てきています。またプラスとグランドの電極間はショート状態でした。


充電回路には680Ωの抵抗が入っているので、電池の電極間がショートしてもVCCの電源には影響はありません。
またZED-F9Pから見ると電池の電圧が0Vになっただけなので、ショート状態でもZED-F9Pには影響が無い筈です。データシートには「電池を接続しない場合はV_BCKPはVCCに接続する」と書いてあり、ショート状態での使用は保証されていませんが、実際に試したところでは正常に動作するようです。

MS621FEの形状がリフローできる形状で、誤ってリフローで実装してしまってもZED-F9Pは正常に機能するので、実装工場には手はんだで行う事を良く伝えておく必要があります。