みちびきCLAS受信用アンテナのテスト

先日、みちびきCLAS受信用基板D9Cx1に関しての取材があり、その中で、安価な受信用アンテナを探したという話をしました。
それで、少し前になりますが、その際の受信テストの結果を掲載します。

テスト方法

テストはNEO-D9CからUBX形式で送られてくる、チャンネルAおよびBの受信強度(C/N0)をログ保存し、その結果をプログラムで解析しました。
チャンネルAはみちびき3号機(Q7)に固定し、チャンネルBは自動としました。
Q7は静止軌道ですので、信号強度がほぼ一定になり、比較するのに好都合です。

測定時間は24時間ですが、受信強度が低くて使えないものは短時間で打ち切りました。
アンテナの設置位置は軒先で、ほぼオープンスカイですが、マルチパスが起き得る環境です。

テストしたアンテナは、弊社のネットショップで販売しているものを主に、12種類テストしました。

結果

平均値

Q7衛星の受信強度の平均値は次のとおりです。
通常、38dBHz程度以上あれば、受信したCLAS補正データが正常に復号され、ZED-F9PでCLASによる測位が可能です。
型番に緑のラインがあるのは、38dBHz以上のアンテナで、使用可能なものです。

なお、各平均値の標準偏差は0.2~0.7dBHz程度あります。
また、受信強度はマルチパス等の影響を受けやすいので、各平均値は弊社での特殊な条件での値であり、単なる目安とお考え下さい。

連番型番メーカ/ブランドQ7衛星の平均受信強度(dBHz)測定時間
1AN608TOPGNSS40.14368秒間
2ANN-MB-00u-blox349897秒間
3BT-345AJBeitian40.124時間
4DA233Drotek36.2443秒間
5GGB0710 TOPGNSS41 24時間
6HX-CSX601AHarxon42.4 24時間
7JCA208Jinchang41 24時間
8JCA228 Jinchang40.2 24時間
9JCA228B Jinchang40.6 24時間
10JCA228E Jinchang40.3 24時間
11JCA231 Jinchang35.44041秒間
12TOP107 TOPGNSS35以下

24時間の受信状況

おもなアンテナについて、24時間の受信状況をグラフで示すと次のようになります。
NEO-D9Cは2チャンネルありますので、グラフも2本のラインとなっています。
24時間、ほぼ一定のラインがチャンネルA(Q7)で、変化しているラインがチャンネルB(Q2,Q3,Q4)です。
Q2,Q3,Q4は準天頂軌道ですので時間により受信強度が変わります。
NEO-D9Cの設定で、チャンネルBは自動にしてあり、Q2~Q4のうち受信状況のいいものにスイッチングするので、グラフでは色が突然変わっています。

BT-345AJ

赤紫のラインがQ7の受信強度です。
測定開始日時:2022/03/13 22:06:17(UTC)

BT-345AJ

HX-CSX601A

黄色のラインがQ7の受信強度です。
測定開始日時:2022/03/19 00:51:05(UTC)
チャンネルBでは受信強度が落ちてくると衛星が切り替わっているのが良く分かります。

HX-CSX601A

JCA228E

赤紫のラインがQ7の受信強度です。
測定開始日時:2022/03/18 02:10:44(UTC)

JCA228E

補足説明

L6バンド

みちびきのCLAS補正データはL6バンド(1278.75MHz)で送信されていますが、L6バンド対応と仕様書に記載されているアンテナは多くありません。
上記のアンテナでは、 HX-CSX601A 以外はL6バンド対応にはなっていませんが、実際には受信できています。
その理由としては、いずれも中国製であり、BeidouのB3バンドが受信できるアンテナです。
このB3バンドは中心周波数が1268.52MHz、バンド幅20.46MHzですので、その周波数帯にL6バンドも含まれる事になり、受信できていると考えられます。

BT-345AJ

BT-345AJには、同じ型番でも、受信できる周波数が違うものがあります。

弊社で輸入したものの中に、1台、Q7の受信強度が35dBHz程度のものがあり、故障かなと思ったのですが、その後に30台ほど送られてきたものは全て、35dBHz程度のもので、すぐに返品しました。
その返品のやり取りで分かったのは、BT-345AJには"38dB"バージョンと"28dB"バージョンがあり、”38dB"バージョンはL6が受信できるが、”28dB"バージョンは受信できない、"28dB"バージョンでもZED-F9Pでは問題ないので、 "28dB" バージョンを出荷しているということでした。
この"28dB"はu-bloxのANN-MB-00の互換品を意味するのだろうと推測されます。

直接、中国からBT-345AJを購入する際は、「L6バンド(1278.75MHz)が受信できる38dBバージョン」かどうか確認した方が無難です。

ヘリカルアンテナ

L6バンドが受信できるヘリカルアンテナとしてはHarxonの製品がありますが、価格が$200程度します。
今回のテストでもヘリカルアンテナは35dBHz程度で、安価なものが見つかりませんでした。
しかし、先日、Aliexpressを検索していたら、受信できそうなものがいくつか見つかりましたので注文しました。
その中で、期待するのはBeitianのBT-T076で、価格は$87です。
対応周波数にはQZSS L1/L2/L5/L6と明記してありますので、恐らく使えるのではないかと思っています。
新製品らしく、型番で検索しても何も出てきません。
到着次第、テストし結果をお知らせしようと思っています。