みちびきL6受信用IC NEO-D9C / CLAS 走行テスト 高速道路、一般道、市街地

先日の走行テストと同じ機材で、高速道路と姫路中心部のビル街を走ってきました。
2022年2月11日午後1時から約2時間、距離は80km程度です。
高速道路は山陽自動車道で、姫路周辺はトンネルが多く、CLASの復旧性能を試すにはちょうど良いルートです。
姫路まで行くので、ついでに姫路の中心部のビル街も走行し、電波の条件が悪い場合どうなるのか調べました。

高速道路では時速100km程度で走行しましたが、トンネルや跨道橋以外ではほぼ全てFixしており、100km/h程度では速度の影響はありませんでした。

次の画像はトンネル付近で、トンネルに入ると紫のDifferentialになり、トンネルを出た後、数秒でRTK(〇)はFix(緑)しますが、CLAS(△)はFixするまで時間がかかります。

次の画像はトンネルから出たところで、RTKは3秒後にFloatになり、7秒後にFixしています。
CLASは6秒後にFloatになり、37秒後にFixしました。

CLASは復旧に時間がかかっていますが、座標そのものは結構正確です。
次の画像で、RTKは3秒後にFloatの黄色になっていますが、5秒後にはCLASはRTKとほぼ同じ位置に来ています。

次の画像は姫路の駅前のビル街での走行結果です。
CLAS(△)は復旧に時間がかかるのでビル街では殆どFloat(黄)かDifferential(紫)です。
一方 RTK(〇)は数秒でFixしますので、所々で緑(Fix)になっています。

CLASはFixしていなくても位置精度がそれほど悪くないのはビル街でも同じです。
次の画像の左側では〇(RTK)と△(CLAS)はどちらもFixしていて、位置が正確な状態でこの程度のずれがあります。この50cm程度のずれは元期座標と今期座標の違いからきています。
画像の下側ではどちらもFloatの状態で、この時のずれは1m程度で、元期今期のずれを引くと50cm程度の違いに収まっています。
この違いは大きいと言えば大きいですが、ビル街というGPS/GNSSには過酷な状況では悪くない値だと思います。

今回の走行テストを通して、CLASという技術、みちびきのシステム、そしてu-bloxの安価な受信用ICの素晴らしさを実感しました。
日本国内ならどこでも、サービス料無料で、センチメータ精度の位置が得られる時代がやってきました。

応用面での技術的な課題としては今期座標を元期座標に変換するルーチンの開発があります。
RTKの場合、基準局の位置を元期座標にしておくと、移動局の座標も元期座標になり、地図などとの整合性が取れてましたが、CLASは受信機側やアプリで変換する必要があります。

RTKのFixの早さは魅力的ですので、インターネットが使える時はRTK、使えない場合はCLASへの切り替えが必要となります。
ZED-F9Pに、基準局データ(RTCM)とCLASデータ(UBX)を交互に入力した場合にどうなるのか試してみたいと思っています。

今回の走行テストの結果はダウンロードできるようにしました。
CLAS_RTK_Himeji.zip
ファイルの形式はShapeファイルで、QGISでCLAS_RTK_himeji.qgzを開いて下さい。
今回の走行ルートのデータを詳細に見る事ができます。

上記の内容でご不明な点はお問い合わせページからご連絡下さい。