クリームはんだ(solder paste)について

弊社で基板を開発する時の試作は、設計後、基板とステンシルを中国のショップで製作し、自社で実装しています。
中国で製作するので安く、1週間ほどで届きますので、設計変更も気楽に行えます。

u-bloxのZED-F9Pを使った基板も今まで10台以上は実装しましたが、今まで問題は起きませんでした。
今回、ZED-F9Pと同じパッケージのZED-X20P用の基板を作成したところ問題が起きました。
次の画像はその基板ですが、目視検査では異常はありません。

しかし、動作テストすると、基本的には動くのですが、マイクロBのUSB端子でパソコンに接続すると認識されません。
調べていくとZED-X20Pの39ピンと40ピンがショートしていました。
ZED-X20Pの端子は外から見えませんので、どのようにショートしているかは分かりませんが、テスタで測るとショートしているのが分かります。
もう一度リフローをし直せばショートしなくなるかと思い、やってみましたが駄目でした。

今まで一度も失敗しなかったのが何故今回失敗したのかですが、今回は今までとは違うクリームはんだを使いました。
冷蔵庫に残っていたクリームはんだは2年以上前のものしかなく、注文すると1週間かかるので、ネットで探しました。
従来使っていたものとは違いますが、翌日発送の商品があり、ユーザの評価も良かったので、注文して使った次第です。

失敗の原因としてクリームはんだが疑われるので、冷蔵庫に残っていたクリームはんだ(Chip Quik SMD291AX)で試す事にしました。

ステンシルで塗布してみたところ、それほど通常と変わった感じがしなかったので、実装しリフローまで行いました。
出来上がったボードをテストしたところ、問題無く動作しました。

何が違うのか、半田の付き具合を顕微鏡で見てみました。
次の画像の左側は従来から使っていたクリームはんだで作製した基板で、右側は今回購入したクリームはんだで作製した基板です。

比較してすぐに分かるのは、小さな半田のボールが右側は電極の間に散らばっています。
この画像では完全にショートはしてませんが、ZED-X20Pのように電極が外周より内部にある場合、ボールの逃げ場がなくショートする可能性があります。
また、左側の半田が盛られている部分は光沢があり滑らかな曲線ですが、右側は表面に不均一な皺があります。
通常は表面張力で左側のようになるのですが、右側の皺が何故できるのか不思議です。

そこで、皺の原因についてChatGPTに聞いてみました。

従来から使っているクリームはんだは、Digikeyで売っていて、他の部品を頼む時に注文しやすいので使ってきていますが、使いかけのものが2年半経っても問題なく使えているのは品質がいいのだと感心しました。
今回購入したクリームはんだで作製した基板がショートした原因は分かりませんが、クリームはんだに拠る差があるのは実感できました。